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10年追いかけた税理士をあきらめて一般企業に。20代で目標に見切りをつけて30代でキャリアチェンジしても後悔しなかったワケ

私は、夢を諦めた経験があります。

夢が叶わない、と感じてしまったときの選択肢は2つ。

それでもチャレンジし続けるか。きっぱり諦めるか。

絶対の正解はありません。正解かどうかを決めるのは自分自身です。

私の夢は、税理士になることでした。

初めて憧れを持ったのは浪人時代。それから大学生になり、社会人になってからも、ずっと税理士資格の取得を目指して勉強を続けていました。

気づけば10年以上が経ち、30歳も目前。

これからも「税理士」という夢を追い続けるべきだろうか?

自問自答を繰り返して、「諦める」という選択をしました。

自分で決めたこととはいえ、最初のうちは虚無感もありました。

それでも今は、はっきりと言えることがあります。

夢を諦めたことに後悔はありません

30代からの人生のほうが長い。

ここから、また新たに“ざっくり”と人生設計をすればいいと気づけたからです。

【今回の社員】

シナネンホールディングス株式会社
経理財務部 経理チーム
藤原智幸

鳥取県出身。関西の大学を卒業後、関西エリアの税理士法人に入社し、中小企業の財務税務関連の支援に約10年間従事する。その後、2020年11月にシナネンホールディングスに入社。2022年に育休を取得。双子のお子さんを育てるパパでもある。


■税理士としての独立・起業にあこがれた学生時代


数字を扱うことが面白いなと感じたのは、高校を卒業してからでした。

「とりあえずいい大学に行けたら」という、ふわっとした目標で挑んだ大学受験に失敗して、浪人だったころに、ちょうど兄が簿記検定の勉強をしていたことがきっかけで、私も少し問題を解いてみたんです。

そうしたら、パズルのように数字を合わせていく面白さにハマってしまい、そこから数字を扱う職業ってどんなものがあるのだろう、と探し始めました。

そこで知ったのが「税理士」という仕事でした。

国家資格で、独立・起業もできる。数字の専門家として、一人でキャリアを切り拓いていけるのがいいなと感じて、そこから税理士になることを目標にしました。

であれば大学も夢に一歩近づけるようにと、簿記の取得が単位になる学校を探し、関西の大学へ進学しました。

税理士を目指して勉強を続ける傍ら、大学2年生のときには、フットサルコートでアルバイトを始めました。

アルバイトながら結構色々なことを任せていただいて、フットサル大会の企画、チームの募集、初心者向けスクール開設などなど。

自分なりにアイデアを出して、形にしてみて、その良し悪しは集客や収益という数字として現れる。ただし、数字を追うだけではなく、「お客様に喜んでいただくにはどうしたらいいか」を突き詰めなければ、結果もついてこないことを実感しました。

今となっては、アルバイトでありながら、自由にチャレンジして、経営の一端を学ばせていただけたのは、貴重だったと思います。

この経験があったので、いつか独立・起業できたらと意識するようになりました。

ただ、私は経営者としてゴリゴリとリーダシップを取るタイプではなく、人をサポートする方が性に合っているようで。当時、同じように起業を目指す友人が「社長になる!」と宣言したのを聞いて、「じゃあ私がサポートするから一緒に会社をやろう」なんて話をしていたくらいでした。


■夢のタイムリミットは20代まで


大学卒業後は、関西にある税理士法人に就職しました。

企業の税務を専門にする会社ということもあり、入社1年目からお客様には頼りにしていただきました。節税を実現すれば、利益にも貢献できて喜んでいただけて、頼られるほどにやりがいを実感しました。

税理士法人では長年同じお客様を担当することも珍しくありませんが、私は好奇心が旺盛なのか、積極的に新しいお客様を担当していました。

入社して5年ほど経ったときには、関西だけでは飽き足らず、自分から希望して関東に転勤したほどです(笑)

そうして実務経験を積みつつ、毎日、仕事が終わってからの時間は税理士資格取得のために充てていました。

周りからは「つらくない?」なんて言われたりもしたんですけど、私の中では割り切っていたんです。

“試験に合格して税理士の資格を取る”
“独立に向けさまざまな経験をする”

この二つが自分の最優先事項と心の中で決めていました。

遊んだり、休んだりする時間があったら、夢を叶えるために努力をしようと。

代わりに、自分にタイムリミットも設けていました。

20代のうちに試験に合格しなかったら、スパッと諦めるということです。

そもそも、税理士になるのはあくまで通過点。20代で税理士にならないと、その先に独立をするのは難しいのも現実です。

正直、30代になったら仕事だけでなく家庭も大切にする人になりたい、という思いもありました。この思いを押し殺してしまったら、先々後悔するのも分かっていました。

結局、30代を前に、10年目の受験でも結果は出ず。これを最後に税理士の夢は諦めることにしました。


■30代からの新たな目標探し。ヒントは過去の自分にあった 


自分の判断で区切りをつけたとはいえ、10年も追いかけた夢ですから、落ち込まないというのは無理でした。まさに、心にぽっかりと穴が空いた状態。

夢という指針がなくなって、この先どうしようかと考えても、なかなか答えは出ませんでした。

ひたすら自問自答を続けるなかで、答えを出すヒントは、過去の自分にありました

税理士法人で企業の税務をサポートした実務経験。

その仕事を通じた実感したやりがい。

資格取得には至らなかったまでも勉強を通じて得た知識。

20代での経験の一つひとつが、これからのキャリアを切り拓く、自分の指針や強みにもなり得るんじゃないかと気づいたんです。

税理士という立場にこだわらなくても、自分がやりがいを持って、力を発揮できる仕事のやり方があるはず。現に、税理士法人のクライアントのように、税務に悩んで相談をしたいという方は少なからずいます。

だったら、一般企業の財務・経理担当として、自分が力になれることもあるに違いないと考えました。

 
夢を追いかけた時間は、決してムダではなかった。

むしろ、自分のキャリアの糧として、次の道につなげていけると信じて、転職活動を始めました。


■新しいチャレンジを志す自分と重なった転職先へ


「一般企業の財務・経理として転職しよう」と方向性を決めてからは、徐々に前向きさを取り戻していきました。

「財務・経理として転職したら、何がしたい?」と、自分なりに少しずつやってみたいことの因数分解をしていったところ、「せっかく転職するなら、やったことがない連結決算の経験を積みたい」という考えに行き当たりました。

連結決算というと、いくつもの事業会社をまとめる、それなりの規模感の企業になるので、志望先も絞られていきました。

シナネンホールディングスに縁を感じたきっかけは、事業を身近に感じたからです。私が普段利用しているシェアサイクルが、グループ会社で運営する「ダイチャリ」だったんです。

選考過程で話を伺っていて、歴史も長いエネルギー会社だからと安定して守りに入っているわけではなく、脱炭素社会という変化に対応しようと変革を進めようとしている姿勢にも惹かれました。

勝手ながら、新たなチャレンジをしようとしている自分と重なったのかもしれません。

実際、入社してみて感じたのは、どんどん新しい試みを実行してみようという空気感があるということです。

持ち株会社制なので、グループ事業会社の経理の方との連携が必須で、どうしたら効率的で正確に業務を進められるかを一緒に考えて、実行していこうとしています。

所属企業・部署を越えて、チームで取り組むことへのやりがいもありますし、自分にとっても新しいチャレンジができている実感があります。


■夢も、目標も、“ざっくり”だっていい


2022年には妻が出産しまして、双子のお父さんになりました。

まさか一度に2人の子どもの親になるとは思っていませんでしたが(笑)、20代のときに描いていたとおり、仕事と家庭の両立ができるよう、試行錯誤の真っ最中です。

この会社で入社3年目になり、経理担当としてのキャリアを選んで良かったとは思っています。このまま経理の専門性を高めていきたいな、とは考えています。

ただ、決めているのは、あくまで“ざっくり”とした方向性だけです。

例えば、私は旅行が大好きなんですが、とりあえず沖縄に行くとだけ決めて、あとは現地で決めるんです。

現地に行くと、急に食べたい物が浮かんできたり、行きたい観光地が出てきたりすることもありますよね。そういった“行ってみてこそ気づくこと”を大切にしたいと思っているんです。

私は、人生も一緒だと考えています。

かつての自分は税理士という一本道の夢を持っていましたが、その道を変えた今、思うのは、大まかな方向性だけ決めておけば、後は自然とやりたいことが見つかるんじゃないかということです。

夢や目標を諦めなくてはならないときは、少し視野を広げて「自分はそもそも何をしたかったんだっけ?」という原点に立ち返ってみるのも一つかなと。

どんな形であっても、自分が頑張った経験は、絶対に何らかの形でこれからのキャリアで役に立ちます

過去の自分をヒントに、夢も、目標も、ざっくりと方向性を探ってみると、それが人生の羅針盤として、自分を良い方向に導いてくれるはずです

(終)

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