「清く 正しく 美しく」。経理の神髄は、宝塚歌劇とともに。
経理は、数字が得意な人の仕事だと思ったら大間違い。
私なんて、学生の頃は、数Iや数Aでくじけそうになるほどの「THE文系」。
キャリアも営業職から始まったのに、いつの間にか経理にどっぷりハマり、気づけば今年で経理人生を歩んで約10年が経とうとしています。
正直、向いているかどうかは、自分ではよく分からないです(笑)。でも、新しいことにチャレンジするのは好きですし、何より、経理の仕事の理想形に憧れがあるんです。
「清く 正しく 美しく」。
私が大好きな宝塚歌劇のモットーです。ヅカファンなら誰もが知るこの言葉は、実は経理の仕事に通ずるところがあると感じています。
経理と宝塚歌劇、いきなり結び付けられてもなんのこっちゃ?ですよね(笑)。
でも、皆さんがイメージする「経理」という仕事とは良い意味でギャップを感じ、こういう向き合い方、楽しみ方もあるんだなと知っていただくお話をできたらと思っています。
【今回の社員】
シナネンホールディングス株式会社
財務経理部
大住 季ゑ
■完璧でカッコいい。師匠との出会いから経理の世界へのめり込む
新卒で入社したのは、医師と病院をつなぐ人材会社で、私は非常勤医師の方の担当でした。
売上・成約数という形で、自分の成果が「数字」で明確に現れる。分かりやすくも、シビアな世界です。自分で言うのもなんですが、真面目な性格なので、目標数字に対してはどん欲でした。逆に、なかなか数字があがらないときは思い詰めて、気持ち的に苦しい時期もありましたね。
そうやって「数字」を追っていくうちに、別のことに関心は移っていきました。自分たちの営業の成果は、会社の業績にどうつながって、どう貢献できているんだろうか。いわば、自分があげた数字の行方を追ってみたくなったんです。
会社全体の数字に関わる部署と言えば「経理」に行くしかないと思って、入社2年目に希望を出したところ、タイミング良く経理部に異動することができました。
数字から会社の現況を読み解いたり、より効率的に進めるためのやり方を考えたり。そういうフィールドで新しいことに挑戦するのが、私には合っていたみたいです。
学生の頃は、経理というと、数学が得意な人の方が向いているというイメージもあったのですが、一概にそうではなくて安心しました(笑)。
4年くらい経理を担当して、ある程度自分でも仕事が分かってきたところで、次に目を向けました。
その会社が非上場だったので、上場企業ではまた経理に求められることも変わるんじゃないか。ここではできない挑戦ができるんじゃないかな、と。それで思い切って転職活動をして、東証一部の企業に経理担当として入社しました。
2社目の会社を語るうえで欠かせないのが「スーパー経理部長」との出会いです。
私の経理人生を大きく変えたと言っても過言ではありません。
経理としての数字の見方はもちろん、社内調整、部下のマネジメント、すべてにおいて細やかでキッチリして、何もかもが完璧。その姿を見て、「私もこうなりたい…!」と思いました。
今でも「経理人生の師匠」と思っていますし、最も尊敬する先輩です。
ただ、ショックなことに、その経理部長が体調不良で急きょ退職されてしまったんです。そのうえ、部長がすべて細やかにチェックし、責任を持ってくれていた業務で、経理でも最も難しいとされる本決算の「会社法計算書類」「決算短信」「有価証券報告書」の作成を私がメインで担当することになるという…。言うまでもなく、想像を遥かに越えて大変でした。
そうは言いつつも、「難しいほど燃える」性格でして(笑)。難しいことにぶつかるときもあるけど、やるかやらないかは自分次第じゃないですか。
宝塚歌劇『エリザベート』での有名なセリフで、「人生は短すぎて、退屈している暇などない」という言葉があるんですが、本当にその通りだと思うんですよね。
このようなセリフももちろん、このとき仕事の合間を縫って観に行っていたタカラジェンヌの方々の姿(とても一言では言い切れない魅力)に勇気と活力をもらいながら、無事、難題の本決算を乗り越えることができました。
■売上規模は前職の70倍。その数字に携われるシナネンHDにワクワクした。
一つやり切ったので、次は何をしようと考えて出した結論が、2回目の転職でした。当時の会社よりも、さらに規模が大きい企業には、また新たな経理としての挑戦ができるんじゃないかって思ったんです。
そこで巡り合ったのがシナネンホールディングスでした。
会社のことはこの転職活動で初めて知りましたが、売上規模だけで言えば前職の約70倍。
この数字を聞いて、怖い、というよりは楽しそう、と率直に思いました。まだ自分が経験したことのない経理業務が待っていると想像するだけでワクワクしましたし、挑戦するしかない!っていう気持ちが強くなりましたね。
面接の場では、財務経理部の今の課題、ミッションの共有をいただき、「良い方向に変えてほしい」という言葉にも、とても惹かれました。
90年以上の歴史がある大きな会社なのに、社員の意識を変えようと「風土改革」にも取り組んでいることも知って、中途入社の自分にもできることもあるんじゃないかなと思いました。
これだけたくさん初めての挑戦が待っていると分かったら、「やる」以外の選択肢はなかったですね(笑)。迷いなく入社を決めました。
■自分が背負い込む<皆で声掛けながら進めるスタイルがすごくいい
入社して気づいたことなんですけど、新卒から長年勤めている社員の方がいることが、私にとってはすごく新鮮でした。
どちらかと言うとベンチャー寄りの企業に勤めてきたので、会社の歴史の重みを感じることって、あまりなかったのが正直なところで。
その点、当社は長い歴史があって、その中での紆余曲折を見聞きしてきた方々がいるので、お話を聞いてみると、会社の変遷や成長を感じられるのが素敵だなと感じています。
一方で、中途の方も毎月のように入社してきています。元々いた業界も様々で、多様性がありますね。担当業務も、年齢やキャリアだけで判断されることもありません。
実は、私も入社してすぐに、まさかの本決算において再び「会社法計算書類」「決算短信」「有価証券報告書」の作成の主担当をすることになったんです(笑)。
前職で一回は乗り越えたこととはいえ、ボリュームも難易度も段違いで、最初は不安も大きかったんですが、「みんなで一緒に乗り越える」という、チームでの仕事の進め方に救われています。財務経理部には、みんなで分からない点や悩みを口にする文化があって、何でも気軽に相談できる雰囲気があるんです。
長年経理で経験を積まれた方も多いです。数字を見ただけで勘を働かせられる先輩方の姿には尊敬の気持ちを持って一緒に仕事をさせてもらっています。
この助け合いの風土を大切にしたいですし、私なりにこの輪を広げられないかなと考えて新たな試みをしたりもしています。
グループ各社の経理業務には、会社によってやり方が若干異なったり、誰に聞いたらよいか分からないなどの課題があるんです。そこで私から提案して、各社の経理がオンラインで一堂に会して情報を共有できるよう、オンラインの交流の場をつくりました。
いずれは、グループ横断で気軽に何でも相談できる場にしていくのが目標です。まだ始まったばかりなので、まだ探り探りで時間が掛かるかもしれませんが、これも一つのきっかけにできたらと思っています。
■私の経理人生の信念は、「清く、正しく、美しく」
私は小さい頃から「石橋を叩いて壊すような性格」と家族に言われるほど、慎重で心配性な性格です。
数学は全然ダメでも、その慎重さが経理に向いている要素だったのかもしれませんね。
一方で、そんな慎重派な私が、どうして難しいことに挑戦するようになったんだろうって、ふと考えるんです。
そのときに思い当たるのが、最初の会社で経理になったころ、職場と劇場が近いという理由から当日券を買って通うようになり、次第になくてはならない存在になった宝塚歌劇。
忙しく業務の難易度が上がるたびに、約束された楽しさと非日常がよいスパイスになり、「明日も頑張ろう」というポジティブな気持ちにさせてくれたんですよね。
宝塚歌劇には、「清く、正しく、美しく」というモットーがあります。
宝塚歌劇のプロフェッショナルさを言葉にしたものですが、これが実は経理の仕事にも当てはまることに気づいたんです。
不正を認めず“清く”、ルールを“正しく”守り、数字を“美しく”整えてご提供する。
宝塚歌劇を愛しすぎているがゆえかもしれませんけどね(笑)。このモットーを大切に、いつかは憧れの師匠のように、自信をもってマネジメントを担える人財になりたいと思っています。
最後もやっぱり宝塚歌劇になっちゃうんですが、『オーシャンズ11』という公演に、『JUMP!』という曲があるんです。
どんな苦境を前にしても、曲のタイトルのとおり”飛び越せる!”と自らを奮い立たせ、一歩踏み出すことの大切さを実感させてくれるんです。(権利的にここでご紹介できないのが残念ですが、「TAKARAZUKA SKY STAGE」等でご覧いただけるかと!)
どんなことにも気持ちから前向きに、経理担当としてキャリアを歩み続けていきたいと思います。
(終)
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