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前例がないから、を理由にしない。職場初の男性育休6カ月を取得した私が考える、働きやすい職場の空気の作り方

人生にはいろんな選択がつきものです。

どんな仕事をするか、どんなライフプランを送るか。

やりたいことや目標だってあるでしょう。

私も、今までいろんな選択をしてきました。

22歳で就職した、都市ガス会社。
27歳で決断したワーキングホリデー。
30歳での再就職。そして、半年間の育休取得。

その時々ではあんまり深く考えず、勢いで選んでしまったこともあるかもしれません。

でも、どんな選択も、自分にとっての正解にしていくしかないんじゃないかなと思うんです。

もちろん、すぐには腹落ちしない選択もあるかもしれません。時間が経ったり、人付き合いが変わったり、自分を取り巻く環境が変わることで、見えてくることもあります。

私の場合、子どもができて、育休を取得してみて、それまでの経験すべてが、つながってきた実感があります。

そして育休を経た今、仕事への向き合い方も変わりましたし、同じ会社のメンバー全員にとって働きやすい職場にしたい。

そんな思いが強くなりました。
 

【今回の社員】

日高都市ガス株式会社
営業統括部 営業統括チーム
河津 達也

大学卒業後、地元埼玉県の都市ガス会社に就職。営業に3年間携わった後、サービス業務にも従事。27歳になる頃、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。2年後に帰国してからは、人材会社での営業を経て2020年8月、知人の紹介で日高都市ガスに入社。2023年には半年間の育休を取得し、2024年5月に復職。現在は、仕事と育児の両立に奮闘中。
  



■人生は一度きり。やりがいのある仕事を辞め、ワーホリへ


昔から、音楽やファッションなどのカルチャーが好きでした。

大学時代には、新宿のアパレルショップで4年間アルバイトをしていたので、周りの友達もファッションが好きな人が多かったです。

そんな経験から当初、就職活動で目指していたのは、アパレル業界。

ただ、親からのアドバイスで、「もっと視野を広げてみてもいいんじゃないか」と言われて、他の業界にも目を向ける中で出会ったのが、とある都市ガス会社でした。

自分の地元・埼玉県の企業で名前は知っていたものの、エネルギー業界のことは何もわかりません。それでも、地元の先輩から「働きやすいよ」と聞いて応募し、入社することになりました。

入社後2年間は、ガスの開閉栓・器具の商談・リフォームの相談などを受けるサービス業務を担当しました。

3年目以降は、営業として都市ガスの導管が届いていない地域の住宅を訪問し、プロパンガスから都市ガスへ切替えを提案する仕事です.

いわゆる「飛び込み営業」でノルマもありましたが、都市ガスは公共性が高く、お客様にとっても都市ガスを使ってもらえる機会が増えるメリットがあるので、提案には前向きに聞いていただけました。

働いてみて思ったのは、“地元・地域の人のために貢献している”という実感が、やりがいになっているということです。

飛び込み営業とサービス提案とでは仕事内容は違うんですが、どっちもお客様から感謝していただけるのが嬉しかったんですよね。

入社前には想像もしていませんでしたが、自分には誰かのために働くというのが性に合っていたんだと思います。

風向きが変わったのは、27歳の時。

きっかけは仕事ではなく、プライベートの話で、実は離婚することになったんです。

24歳の時に結婚したので、3年くらい経ったときでした。

突然、独り身になってみて、ふと思ったんですよね。

人生は一度きり、やってみたいことにチャレンジしてみようと。

やりがいを感じられる仕事があって、充実しているものの、いつ何が起きるか分からないのだから、絶対にやりたいことを今やるべきなんじゃないかと。

そこで浮かんだのが、“海外に住んでみたい”という思いでした。

亡くなった祖父が海外へ行くことが好きな人で100か国以上行ったことがある人なんです。

小さいころから外国の話を聞いていたので、1回は海外に住んで異なる文化に触れてみたいなと思っていました。

それでワーキングホリデーに目をつけたんですが、30歳以下という年齢制限があって、挑戦するなら、まさに今しかありません

だったらと思い切って仕事を辞め、日本を飛び立ちました。


■いざ、憧れの地へ! 英語も喋れない中での海外生活


憧れていた、海外での暮らし。選んだのは、オーストラリアです。

学生時代に趣味でサーフィンを始めたんですが、オーストラリアはサーフィンが国技とも言われていて、いつかは本場の波に乗ったり、カルチャーに触れてみたいと思っていたんですよね。

ただ、実は英語が全く喋れなくて、最初は英単語と日本語が入り混ざった、いわゆる「出川イングリッシュ」状態の出たとこ勝負(笑)。

現地の語学学校に2ヶ月間通う中で、少しずつ喋れるようになっていきました。

職場としては、レストランや農場などでも働きました。出会う人々がみんなオープンで優しくて、本当に住みやすかったですね。

そうこうしているうちに、あっという間に、ワーキングホリデーの期限である2年が経ちました。

ずっとここに居たいと思いましたね。

でも、住み続けるには永住権を取得しなければならず、そのためには難易度の高い英語のテストや、専門資格も必要になります。

このまま住みたい気持ちもありましたが、帰国することにしました。

帰国後にご縁があって入社することになったのが、人材会社です。

求職者の思いを聞いて転職先をご提案するという仕事と聞いて、前職でも感じていた人のために貢献できることでやりがいが得られるのかなと思って決めたのですが、ふたを開けてみるとイメージとは違いました。

連絡手段はメールと電話のみ、得意としていた対面でのコミュニケーションの機会はありません。求職者に対して寄り添うより数字を追うプレッシャーが強く、ハードな仕事でした。

長くは続けられないかもしれない──。

悩んでいた時、以前の上司だった方が声をかけてくれて出会ったのが、現職の日高都市ガスでした。

知っている方からの紹介は安心できましたし、都市ガス会社と聞いて、またやりがいを持って仕事ができるかもしれない。そう思って、入社を決めました。


■職場初となる半年間の育休取得。子育てに奮闘しながら気づいたこと

 
2020年に入社して、1年間はライフサポート営業としてハウスクリーニングの業務を中心に、2年目以降は、ガスとリフォームの営業を担当しています。

1社目の頃と近い業務とはいえ、機器に関する最新情報のインプットは欠かせませんし、リフォームに関しては初めての経験です。一つ一つ先輩の横で勉強しながら、業務を覚えていきました。

業務にも慣れ始めた3年目の時。パートナーの妊娠がわかり、再婚することになりました。

嬉しさいっぱいの一方で、ふと気になったのが「子供が生まれてからの生活」でした。

赤ちゃんと暮らす生活はどのようなものになるのかは未知の世界です。

妻が自営業をしていることもあり、日頃から頑張っている姿をみていて、出産によってやりたいことの選択肢が狭まらないようやりたいこともかなえてあげたい…。

ただ、両親のサポートも難しい状況でした。

妻とどのようにしたら家庭とお互いの仕事がうまく回るかを相談しました。

そんな中で考えたのが、育児休暇を自分が取るという選択です。

当時の当社は、まだ男性社員の育休取得実績が少ない上、半年となると全くの前例もない状況。 

普通に考えれば、言いにくい……

ここで思い出したことは、「人生は一度きり、いつ何が起こっても後悔はしたくない」という気持ちでした。

子供と一緒に過ごせる時間は、父親の場合、3年4か月しかない、なんていう説もあります。

人生の中で何度も出来ない経験であること。そして、妻とともに主体的に育児をやりたい。

この気持ちをもって「言う」以外の選択肢はありませんでした。

上司に相談したのは、妊娠が分かってからすぐ。相談というより、もはや「取ります!」という勢いだったかもしれません。

前例が無いなんていうことをよそに、「働く人の権利なんだから」と上長に快諾いただけたときは本当に安心しました。

計画分娩だったので予定日の1ヶ月前から仕事を調整し、仕事を分担、引き継ぎさせていただきました。

20名ほどの規模の会社で、周囲の皆さんには当然、私のぶんの仕事の負担が少し増えるわけですが、快くサポートいただいて、感謝するばかりでした。

そして予定どおり無事、妻が出産を終え、その翌日から育休に入りました。

初めての子育てを通して思ったことは、想像以上に新生児の育児は大変だということです。

毎日、おむつ替え、ミルク作り、掃除洗濯、沐浴、買い出し、料理、夜泣きの度に起きたりなどなど……家事育児を担いながら、妻には母体の回復を優先してもらいました。

1日3~4時間しか寝られない日々が続いたときは、いつまで続くのだろう……と思ったりもしましたが、子供の成長をゆっくりとみられるかけがえのない時間を過ごすことができ、親としての自覚を持つことができました。

その後、妻は出産後4か月で仕事に復帰しました。

妻は早期に復帰できたことで、会社への感謝もしていましたし、夫婦間で感謝やありがとうと伝えることが増えました。

そんな中で実感したのは、これまでの経験が活きているということ。

洋服屋でのアルバイト経験から洋服の整理や洗濯、オーストラリアでのレストラン調理経験から料理もできます。

さらに、育休に入る前は、ハウスクリーニングの業務も担当していました。

全くジャンルが異なる経験をしてきたつもりだったんですが、“全部、このためにだったのかな”って思うくらいです(笑)。

始めたばかりの離乳食に悪戦苦闘している様子です



■仕事も子育ても自分の人生も、ベストを尽くしたい

 
半年間の育休を経て、職場に復帰したのが今年5月です。

多少心配はあったのですが、なんと復帰初日から現場仕事が入っていて(笑)。早く仕事を思い出せるようにそうしてくださったんだと思いますが、それもある種の信頼の証だと受け取っています。

今は、子どもの送り迎えもあるので8:30〜15:30の時短勤務をさせてもらっています。

育休を取得する前に比べて業務時間が減ったぶん、とことん効率を意識するようになりましたね。

もちろん、楽をしたいというわけではなく、「目の前の仕事を頑張ろう」という気持ちはむしろ強くなったと感じますし、より効率的な方法で、最大の成果を上げるための選択をする、という意識が高くなった気がしています。

オーストラリアでのワーキングホリデーで気づいたことなんですが、自分が関わった海外の人達って、残業しないんです。

業務時間内できっちりとしっかり仕事をして、さっと帰る、そして家族との時間を何よりも大切にしているんです。

そういう姿を目の前で見たからこそ、「自分自身の仕事の取り組み方」、「家族や自分のプライベートの時間の使い方」を大切にしていこうと思いました。

だから私が目指すのは、仕事も子育ても自分の人生も、全部全力で楽しむこと

振り返ってみたときに、何が自分にとっての正解になるかなんてわからないからこそ、その時々で、一瞬一瞬を大切に、自分なりのやり方で楽しむことを大事にしたいと思っています。

実は、いままさに育休を取得している男性社員がいるんです。

個人的にはうれしいんですよね。育休に入る時にみなさんに助けていただいたので、次は自分が他の社員の皆さんを支える側に回りたいし、会社に恩返ししたかったので。

一人、また一人と、ただ育休取得者を増やしたいわけではありません

前例がないからとか、何となく難しそう、人手が足りない環境といった事実もありますが、固定観念のとらわれず、誰もが自分の人生のために、自由な選択ができて、周りのメンバーがその選択を応援したり、支えたりする

そういう関係性をつくれたらいいなって思うんです。

同じ会社にいるだけだと言ってしまえばそれまでですが、せっかく人生で同じ時間を過ごしているわけですから、お互いにとって良い影響を与え合える関係性を築けるのが一番じゃないかなと。

育休はきっかけにしかすぎないかもしれませんけど、こういう思いの輪を1つずつ繋いでいくことが、誰もが働きやすい職場の空気をつくることにつながるんじゃないかな、と思っています。


(終)
 

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