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コンサルの“最後の一歩が踏み込めない感覚”はもうやめた。データを極めるために必要だった「事業会社のIT部門」という選択肢

「データ」と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?

私自身、これまでのビジネスパーソンとしてのキャリアの中で、色々な立場(業務担当者、SE、コンサルタント)でデータに関わってきました。
 
そして今、ようやくわかってきたのは、企業が活動するうえで質の高いデータがいかに大切であるかということ

データという無味乾燥なものを活用して、どのように付加価値を生み出すことができるかが、データマネジメントの肝ではないかということです。
 
私は色々な企業・立場でITシステム導入に携わってきましたが、それぞれのプロジェクトで様々な人達の価値観の違いに直面するたび、自分はどんな武器を持って価値観の違いを調整し、企業価値向上へ貢献していくのだろうと自問自答を続けてきました。
 
経理の仕訳担当からビジネスキャリアを開始した一介のSEが、どのようにデータマネジメントへのこだわりを持つに至ったのかをお伝えできればと思います。


【今回の社員】

シナネンホールディングス株式会社
IT戦略部 プロジェクトマネジメントチーム
シニアスペシャリスト/風土改革 変革リーダー
佐藤 健司

新卒で証券系システム子会社(後に合併してシンクタンク)に入社し、経理やプリセールスを経て、システムエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる。オンライントレード会社へ転職し、その後大手SIer(システム上流工程担当・管理職)での経験を積み、データマネジメントコンサルタントとして活動した後、シナネンホールディングスに入社。2022年度は、会社が推進する風土改革の変革リーダーも兼任。


■自問自答を続けたエンジニア時代


新卒で入社したのは、証券会社系列のシステム子会社でした。特に金融業界を志望していたというわけではなく、平たく言えば“ご縁があって”という形です。
 
その時は1980年代後半。ITという業界が注目を浴び始めた頃でした。
 
ITを生業とする会社に入社できたので「せっかくなら事業の根幹に携わりたい」という思いがあり、エンジニアを志望しました。
 
ですが、まずは色々と経験を積むべしということで、最初の配属は経理部。その後、プリセールス部門に異動し、営業をサポートする中でエンジニアとも仕事をして経験を積んだうえで、ようやくエンジニアになることができました。

そばで見ていたものの、エンジニアとして自分で手を動かすのは初めてなわけです。アセンブラ言語や会社独自のOLTP(オンライントランザクション処理)システムなど、この会社でSEにならなかったら触れていないであろう世界。

実際にやってみてわかったのは、非常に奥が深い。そして、突き詰めていく感覚が自分には合っているということでした。
 
色々と異動を重ねて仕事の楽しさを覚えながら、その会社には十年近く勤めました。

そうこうしているうちに、証券業界には「株式手数料完全自由化」という時代が到来します。コスト削減を迫られた証券会社が取り組んだのが、オンライントレード。異業種の参入も相次ぎ、複数のオンライントレード会社が誕生しました。

そんなタイミングで、私もオンライントレード会社の立ち上げに誘われました
 
もちろん準備段階だったので、やることは山積み。でも、最先端の会社の立上げに伴うシステムの最上流工程にゼロから携われると考えたら、むしろチャンスだと感じました。自分のキャリアのなかで必ず糧になると信じて、思い切って転職しました。

ですが、その大変さは想像を遥かに上回っていました。勢いそのままの判断で、若気の至りだったと思います(苦笑)。
 
終電で家に帰れないどころか、会社近くのホテルに3カ月近く連日泊まり込むような生活。事業の立上げフェーズに参加するという初めての経験を前に、自分の技量が足りないことも思い知らされました。体力的にも限界を感じて1年ほどで退職しました。
 
自分のキャリアを考える余裕もない日々から解放されて、改めて「自分が何をやりたいか」を見つめ直しました
 
見つめ直したつもりだったのですが、その時の結論が「プロフェッショナルになりたい」ということ。「なりたいとやりたいは違うぞ!」とその時の自分に言ってあげたいのですが…。その時は、一番しっくりきた答えだったのだと思います。

それまでITの領域でキャリアを積んできたので、目指すならITサービス提供としてのプロフェッショナル。特に自分の力不足も実感したITの上流工程を中心に、次の転職ではもっと自分の技術に磨きを掛けたいという思いを持って、大手SIerに入社しました。
 
要件定義などを担当した後、プロジェクトマネージャーとして複数のプロジェクトを見るようになったのですが、そうなると当然後工程にも目を配らなくてはなりません。
 
管理職になると、パートナー企業を含めてプロジェクト全体の進捗・品質管理が求められ、人のアサインや労務管理などの人材管理のウエイトも高まっていきました。

技術を磨きたいと思って転職したのに、自分の意志とは反した業務のウエイトになっていったわけです。
 
今思えば当然のことですし、出世すればその分大きな仕事ができる。ですが、そのときは大きな仕事をしたいのか、元々考えていた自分のキャリアプランを突き詰めたいのかモヤモヤと考えてしまい、「これでいいのか?」と迷いが生じるようになっていきました。

■「何を突き詰めたい?」自分の内側を探っていく


 迷いが生じるなかで、自分に改めて疑問を突き付けられた気がしました。
 
「自分は何を突き詰めたいのか?」
 
エンジニアとしての経験・スキルを磨き、ITサービスを提供するプロになりたいという思いはありました。
 
そこからさらに深く踏み込んでみる。
 
何度も深く答えを求めていって、思い至ったのが「データ」の重要性でした。

それまで「要求開発・要件定義だ」、「プロジェクトマネジメント」だと言っていましたが、ITシステムを導入するにはデータを上手く扱えなければ始まらないのです。
 
例えば、システム置き換えのタイミングに比べて、データは複数世代のシステム間を移行して長く活用され続けます。システムのライフサイクルより、データライフサイクルの方が長い。会社を支え続ける基盤になるのはデータだと、ふと気がつきました。
 
ちょうどよいタイミングで誘いもあって転職し、コンサルタントとして、クライアント企業の課題解決に従事。ここではまさにデータをいかに活用するかという視点で、さまざまなコンサルティングを経験しました。
 
長く勤めて充実感はある一方で、「最後の一歩」に踏み込めないという悔しさも感じるようになっていきました。外部のコンサルタントという立場上、最後の決断はやはりお客様が行うものだからです。

であれば、事業会社側でデータに関わることができれば、もどかしさの解消に繋がるのではないか。最後の意思決定に携わる経験が、データを扱うことを突き詰めるためには必要だと考えました。
 
そんな折、不思議なご縁があるもので、当時のクライアント企業にいた方が、シナネンホールディングスに入社されていました。しかも、DX推進へまさに注力しようとしており、データマネジメント分野の経験者を求めているところだと。
 
これはまさに今自分がやりたいことができる。せっかくなら、この会社でチャレンジしたいと思い立ち、転職に至りました。
 

■「伸びしろしかない!」でやる気に変えていく


データ、データと言っていますが、実はデータそのものに価値はありません。データとは、事実・記録であり、無味乾燥なものです。だからこそ、そのデータをいかに価値あるものにしていけるかが大切です。
 
「データ・情報・知識・知恵」とよく言われます。

客観的な事実であるデータを人が活用できる“情報”に加工し、洞察を加えて“知識”に変え、意思決定に役立つ“知恵”に昇華させる。こうしてデータの価値を少しずつ高めていくことに技量が問われます。
 
シナネンホールディングスに入社して、データのプロフェッショナルとして自分が担うべきは、まさにこの部分だなと実感しています。

 シナネンホールディングスグループの事業は多岐にわたります。BtoCのビジネスもBtoBのビジネスもあり、それぞれの事業会社・部署ごとでもターゲット顧客が異なります。そのぶんデータも、最適な活用方法も変わってくるわけです。
 
私は、事業会社・部門ごとの事情を伺ったうえで、それぞれの目的に応じてデータを活用してもらえるよう、積極的にアドバイスをしています。
 
ただ、シナネンホールディングスは、この活用に至るまでのプロセスがまだまだ未完成で、システム化されていない(紙やEXCELで、特定の有識者に頼って管理されている)データも山ほど存在します。ロードマップを日々更新し、少しずつゴールに近づいていくという感覚です。
 
一つひとつのタスクを進めるのが大変だと感じることもありますし、不安がないと言えば嘘になります。
 
でも、ものは考えようです。
 
「伸びしろしかない!」
「やりがいしかない!」

 
改善点=伸びしろ。自分の力で会社を変えて、伸びしろを広げていけるって、なかなかできる経験じゃないと思います。

それこそ逆境を楽しむことで、やりがいに変えるのが自分の成長にとってもプラスになると考えています。

■目標を達成するためにも企業風土を変える


 今年度からは新たなミッションも受け持ちました。
 
グループで推進する「風土改革」で、シナネンホールディングスの変革リーダーを務めています。
 
変革リーダーは、風土改革を業務として積極推進する役割を担います。私は、シナネンホールディングスの風土改革を率先垂範する立場にある者として、この風土改革のなかでデータ活用やDXを進める機運を高めていきたいと考えています。

データ活用やDXを推進できるかは、企業風土による部分も大きいと思っています。「データを活用するともっと効率的に良い仕事ができるようになる」。「これから企業としての成長を目指すにはDXが欠かせない」。一人ひとりが信じて意識できるようになれば、大きく前進できるのではないかなと。
 
それに、風土改革に積極的に関わることで、色々な事業会社の方々と話す機会が増え、うまくデータ収集ができ、もっと活用方法を伝えることができるなと思ったこともあります。
 
だったらIT戦略部の仕事と風土改革を両輪で進めようと。一挙両得を狙った、ずるがしさはあるかもしれませんね(笑)
 
まだ変革リーダーとしての日は浅いですが、風土改革を通じて会社を良い方向に導くのはもちろん、自分の成長にとって糧になる取り組みを実行していきたいと思っています。

 

■データを活用するための“型”をつくる


データ活用は、私一人でどうにかできることではありません。
 
マネジメントする組織、役割の定義や設計、ルールづくりを行い、組織立って進めていく必要があります。まだ道半ばではありますが、データに強いシナネンホールディングスグループを実現していくのが目標です。
 
定義・ルールというと、ちょっと堅いイメージを持たれるかもしれませんね。
 
実際、周りからは、「佐藤さんって型にこだわるね~」と言われることがあります。自分でも思い当たる節があります(笑)。
 
実はコンサルタントになったのと同じタイミングで、かれこれ17年ほど空手道の稽古を継続しているんです。
 
日本人は「型」という独自の優れた伝承、習得方法によって「心」と「技」を継承してきました。空手道も「型」を稽古して心身の調和を図ることで、さまざまな応用へとつなげることができます。

データもこの型を見極めること(モデリング)が、その後のデータを作るプロセスやその後の活用方法に影響するほど重要です。データマネジメント(道?)と空手道を歩んでいる中で、このあたりが染みこんでいるのかもしれません。
 
型があるから、可能性も広がる

データのプロフェッショナルとして、この会社で組織立ったデータ活用を進め、成長の基盤となる“型”をつくっていきたいと思っています。
 
(終)

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